まん丸の、黄色い月を見ていたら、中学生の頃、今はもう亡き父に食べさせてもらったステーキを思い出した。

大きな丸いバターが分厚い肉の上に鎮座していて、なんとも言えない香ばしい匂いが鼻腔を突き抜けたのを覚えてる。

当時で5千円位だったような記憶がある。

おそらく少し無理をして一人息子に食べさせようと思ったのだろう、父は他のものをつまみながら、最後に僕の残した脂身を「食べないのか」と、箸でつまみ上げると、そのまま口に運び、うまそうに酒で流し込んだ。

肉の脂身が苦手だった僕は、気持ち悪いと思って見ていたが、今やその快楽が痛いほど分かるような歳になってしまっている。

父が亡くなった歳よりも自分はもう6歳も歳をとっているのだ。

眩しいほどの月を見上げながら、もう自分よりずいぶん年下になってしまったあの時の父の顔を、少しさみしく思い出した夜。

2014/9/10