休日が好きだ。

自分が休めるからじゃない。
休んでる街が好きなのだ。

朝、町を歩いていても
通勤、通学の人たちがいないから、
自分の足の遅さが気にならない。

その代わりに、犬を連れてのんびりと
散歩している人とすれ違う。

「おはようございます」

なんて声をかけあったりする。

人も車も少ないせいだろう、
鳥の声がはっきりと大きく聞こえる。

工場も休みだから空気もおいしい。

街全体があくびをしている。

だれている近所の猫に,眠そうな目で見られながら,路地を抜けると教会のある小さな公園に出た。

めずらしく牧師さんが花に水をあげているけど、
今日は礼拝があるのかな。

秋風を五感で楽しみながら、澄んだ空にかかる大きな十字架を見上げていると、後ろから走ってきた人に追い抜かれた。
でも、いつもみたいに会社に遅刻しそうなのではなく、
ジョギングを楽しんでいるのだ。

車輪のついた、旅行用のケースをなかよく並んで
ころがしているカップルはどこに行くのだろう。
温泉、いや、若いから日程の短い海外旅行かな。

歩道に沿って植えてある色とりどりの花壇と、
季節外れの蝶を目で追いながら、いつもよりさらにゆっくり駅に向かって歩いていくと、だんだん家族連れが増えてきた。

普段着がちょっとさまにならないお父さんはお疲れ気味だが、奥さんと子供たちは生き生きとしている。

みんな遊びに行くのだ。

休みの日は、そんな人たちが周りにいる。

なまけものの僕は、なんだかとてもほっとするのである。